出雲の坂-5「黄泉の坂」
出雲市駅(山陰本線)バス→稲佐浜・・・奉納山公園・・・出雲阿国の墓・・・出雲大社 バス→(猪目峠)(鷺峠)(鷺浦漁港)→鵜峠(うど)・猪目洞窟・黄泉の坂・・・猪目海岸・・・猪目本町・鰐渕小学校猪目分校・大歳神社?・・・鵜峠(うど)漁港・・・大宮神社・仏照寺・・・面坂(おもてざか)・面坂トンネル・・・鵜峠バス→出雲大社バス→出雲市駅
出雲大社からちょっと離れた稲佐の浜や奉納山公園は人もまばらで静か。出雲大社は相変わらずの人間の多さと神在月の神さまたちで賑やかでした。出雲大社からバスは上り坂を大きくカーブを繰り返し、最徐行で走ります。乗客は地元のおばさん3人とおじさんと私。後から来る車を先にやり、対向車がくれば停車しての走行で運転手とおばさんたちは世間話をしています。鷺峠まで上ると下りとなって鷺浦港へ出ます。しばらくするとまた上りとなって面坂トンネルを抜け急坂を下ると鵜峠の集落に入ります。鵜峠のバス停で降りようとし、洞窟はここでいいのかと聞くと、バスの運転手は洞窟の前で降ろしてくれるとのこと。小さなトンネルを二つ抜けた猪目洞窟(黄泉の坂)の上で降りました。(バス停は猪目本町からの方が近い)
猪目洞窟の前は小さな漁船や漁具で雑然としています。写真で見て知っているので驚きませんが、神秘的な洞窟の感じを持って来た人にはちょっとガッカリする光景でしょう。もともと漁船の船着場として整備を始め入口の堆積物を取り除いたところ、この洞窟が見つかったそうなので仕方ないでしょう。入るとすぐにしゃがんでも進めない高さになりその先は真っ暗です。入口近くに小祠が祀られています。堆積物の中から縄文・弥生・古墳時代の遺物が出土しました。
『出雲国風土記』の出雲郡宇賀郷の条に「磯より西の方の窟戸(いわやと)、高さ広さ各六尺ばかり。窟の内に穴在り。人、入ることを得ず。深き浅きを知らず。夢にこの磯の窟の辺に至れば、必ず死ぬ。故、俗人、古より今に至まで、黄泉の坂、黄泉の穴と名づくるなり」とあります。
『古代出雲を歩く』(前島己基編著)によれば、「猪目洞窟が黄泉の坂(穴)に比定されているのは、約13体の人骨が出土したことによる。その中の男性骨(弥生時代)は6個のゴホウラ貝の腕輪をしていた。ゴホウラ貝は、鹿児島や沖縄の海からとれる貝で、この男性は豊作、大漁を祈る呪者とも考えられ、海を舞台に生活していた人々が、死後も海と結びつくことで、安心を得ていたことを示唆するようにも思われる」とあります。またゴホウラ貝輪は北部九州では首長身分の証として使われていたことから、北部九州との交流も考えられます。
次のバスまで2時間近くあるので、洞窟を見て猪目海岸からバスの終点の猪目本町まで歩きました。静かで人影はありません。猪目分校の前に来るとやっと生徒の声が聞こえました。引き返してトンネルを2つくぐり鵜峠漁港から面坂(おもてさか)を面坂トンネルまで上りました。
これで今回の出雲の坂道散歩は終わりです。「黄泉比良坂」と「黄泉の坂」は神話、伝説上の坂なので歩いた坂の数には加えていません。実際にこれらの坂を通るのは、もっと坂道散歩でいろんな坂を歩いた後の最後の坂道散歩の時になるでしょう。
【地図】写真をクリックすると拡大します。
大国主命と高天原の使者の健御雷神(たけみかづちのかみ)が国譲りの話し合いをしたという浜。
八大荒神社(奉納山公園内)
奉納山は出雲大社へ奉納する経文を納めた所。
大国主命の宮殿(出雲大社)の造営に奉仕した神を祀る。
『出雲国風土記』の「国引き神話」で引いてきた杵築の御埼をつなぎ止めた杭の佐比売山(三瓶山)と引いた綱の薗の長浜がうっすら見える。(奉納山山頂から)
出雲阿国の墓
歌舞伎の創始者。出雲大社の鍛冶職中村三右衛門の娘で出雲大社の巫女だったという。
出雲大社拝殿
出雲大社 バス→(猪目峠)(鷺峠)(鷺浦漁港)→鵜峠(うど)出雲大社から「鵜峠」方面行き。
写真はただのトンネル
猪目洞窟・「黄泉の坂」 《地図》
入口に説明板、その奥に小祠。
左が小祠
「説明文」
上に道路が通っている。
出土した男性人骨が着けていたゴホウラの貝輪 『古代出雲を歩く』から
洞窟の前は小さな漁船と荷物置場で雑然としている。
浜は海水浴場
生徒数3人(平成18年5月現在)。平成25年3月31日閉校した。寂しいねえ。
面坂の坂下
坂途中から
面坂(坂上方向) 《地図》
だんだん傾斜がきつくなる。
鵜峠漁港、十六島湾が見える。
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