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2009年6月 5日 (金)

四国遍路道(阿波国-7)

2009年5月14日

  民宿山茶花・・・平等寺新橋(桑野川)・・・月夜橋(南川)・・・県道284号・・・月夜御水大師(番外霊場)・・・国道55号・・・鉦打坂薬師堂・鉦打大師堂・・・鉦打坂・鉦打トンネル(301m)・・・明月橋(福井川)・・・弥谷観音(番外霊場)・・・国道55号・・・県道25号・・・中内橋(福井川)・・・辺川休憩所・・・由岐坂峠・由岐坂トンネル(104m)・由岐坂・・・田井ノ浜・・・(JR牟岐線)・・・木岐トンネル(182m)・・・白浜休憩所・・・山座峠休憩所・・・県道25号・・・恵比須洞・恵比須神社・・・恋人岬・・・国民宿舎うみがめ荘

 桑野川を渡り、県道を小学生と挨拶を交わしながら南に行く。Q君が追い抜いて行った。県道が大きく左にカーブする所を直進すると月夜御水庵だが、ちょっと分かりにくい。前回もそのまま車道を進んで、引き返した記憶がある。今日は入り口らしき所に車が止まっていて余計に分かりにくい。立ち止まってしばし確認していると、おばあさんが大きな手振りで、「お遍路さん、こっちこっち」と教えてくれた。やはりここを直進するのだ。車道を進んで行くQ君に大声で教える。別に車道を行っても少し大回りになるだけなのだが。

 月夜御水庵の先で県道に出る。車の通らない静かな道だ。ゆるやかに下り、遍路道標に従い国道55号に上ると小さな鉦打坂薬師堂と鉦打大師堂が安置されている。いずれも福井ダムの建設に伴いここに移設されたものだ。鉦打坂トンネルを抜け、国道から離れ福井ダムの明月橋を渡り、弥谷寺へ向う。福井ダムが出来るまでは暗い谷沿いにあったのが、今は小高く明るい所へ移転されている。弥谷寺観音堂下の誰もいない広い駐車場の休憩所で、昼寝には早いが横になってくつろぐ。静かで、日影で、5月の風が気持ち良くしばしまどろんだ。

 国道55号に出てしばらく進み、県道25号へ入る。前回は国道をいくつもの恐怖のトンネルを抜けて23番薬王寺まで行ったが、今回は海側の道を行く。こちらの道の方が車の往来も少なく全然歩きやすい。由岐坂峠、由岐坂トンネルを過ぎて下って行くと、道端に「カニに注意」の標識が立っている。こんな高い所から海まで、「カニ(蟹)の横ばい」で歩いて行くのは、八十八カ所の歩き遍路よりすごいと感心させられたが、後でこんな注意標識でカニ(アカテガニ)が保護できるのかと疑問になった(後述)。

 由岐駅方向への下り坂で、おばさんから手作りの巾着と飴をいただく。久し振りに海を眺めながら田井の浜で小休止。木岐駅手前の民家の前に座っていたおばあさんから小さなビニ袋に入った10個の5円玉いただく。おばあさんはきっとここを通る歩き遍路を昼間の間待っていてお接待をしているのだろう。初巡の時は、お接待がもの珍しく、有りがたく、一つ一つ鮮明に記憶していたが、2巡目になるとお接待は当たり前のように感じてきてしまったのか、ここまで何度もお接待を受けてきたのを忘れかけているようで、慣れというものは恐ろしく情けない。

 木岐トンネルを抜け、海からの風が冷たいくらいの2階建て?の白浜休憩所で一息つく。山座峠を越え、恵比寿神社、えびす洞の遊歩道を一周し、なんてこともない恋人岬から日和佐港、大浜、日和佐城を眺め前回も泊まった国民宿舎うみがめ荘に向った。ロビーでMT氏が新聞を読みながら生ビールをうまそうに飲んでいる。23番薬王寺も打ち、日和佐城(現在休館中で城内へは入れない。)まで上って来たそうだ。足のマメの具合もだいぶよくなってきて調子もよさそうだ。

 久し振りに大きな風呂でくつろぎ、夕食はMT氏、OT夫妻や顔見知りの歩き遍路と一緒だ。Q君は日和佐駅近くのビジネスホテルへ泊まったようだ。明日は通し遍路のOT夫妻、33番雪蹊寺までの区切り打ちのMT氏は国道55号を室戸岬を目指す。こちらはそろそろ今回の終点が近づいてきた。明日は薬王寺から国道55号を少し戻って県道36号を日和佐川沿いに23番奥の院の泰仙寺へ上り、国道55号の山河内駅そばの打越寺へ出て、国道を牟岐町まで行く予定だ。もう3人に追いつくことはないだろう。お互いのここまでの苦労をねぎらい、明日からの奮闘を期して最後の晩餐とした。

  【ルート地図】(137→151)

  写真をクリックすると拡大します。

Img_2539 月夜御水大師の大杉(逆さ杉) 【ルート地図】の138

樹齢約1000年といい、すべての枝が一度下を向いてから、上に伸びていることから逆さ杉といわれる。

Img_2541 説明板

Img_2542 月夜御水大師(番外霊場)

大師の杖により湧き出した加持水。ここで三日月とともに野宿したので、この地を月夜という。湧き水はなかったようだが、見逃したか。

Img_2543 由来

Img_2544 月夜御水大師の先の池

池というより、どんよりしていて沼という感じ。

Img_2545 車道を行くが車の往来はない。

Img_2546国道55号方向へ下って行く遍路道。

Img_2549 国道55号へ上る。

この辺は道標をしっかり見ないと間違えそうだ。

Img_2550 鉦打坂(かねうちざか)薬師堂(右)・ 鉦打大師堂(左)

薬師堂は享保4年(1719)の建立。もとは旧土佐街道沿いにあったが、福井ダム建設の際にここに移転した。

Img_2552 薬師堂由来

Img_2553 大師堂由来

Img_2555 大師堂内

これも福井ダム建設の際に、ここに移された。

Img_2557 鉦打(かねうち)坂 

Img_2559 鉦打坂・鉦打坂トンネル

Img_2562 明月橋(福井川のダム湖)を渡って弥谷(いやだに)寺へ

Img_2565 福井ダム

弥谷観音はダムに沈んだ弥谷にあったのだろう。

Img_2567 遊歩道を下って石造物へ

これらの石造物も福井ダム建設で、元のところからここへ集められた物だろう。

Img_2568 笠地蔵

弥谷七不思議、「不二地蔵・笠地蔵・四寸通し・硯石・ゆるぎ石・日天月天・胎内くぐり」の一つ。

Img_2569 日天・月天

Img_2571 弥谷(いやだに)観音(番外霊場) の石段 【ルート地図】の142

弘仁6年(815)当地を訪れた弘法大師は、岩に本尊の如意輪観世音菩薩を刻み、岩窟で17日間厄除の護摩供を修した。満願の日に七不思議を遺す。福井ダム湖に沈んだ弥谷にあった時の縁起話だ。

Img_2580 愛嬌満点の阿弥陀如来さんだ。

Img_2572 ゆるぎ石

弥谷七不思議の一つ

Img_2578 観音堂(阿波坂東観音霊場第1番)

本尊は如意輪観音

Img_2577 由来

Img_2581 国道55号へ出る。

Img_2583 国道55号から離れ、県道25号に入る。

Img_2591 県道25号

車もあまり通らず歩きやすいが、だんだん暑くなってきた。

Img_2593 阿南市から美波町へ入る。

電柱脇に昔の郡界標が立つ。

Img_2594 郡界標

那賀郡と海部郡、現在の阿南市と美波町か

Img_2598 左手遠方に海が見え出した。

Img_2599 由岐坂、由岐坂トンネル 

Img_2603 「カニ注意」の看板

「アカテガニ」は海に近い石垣や山林の斜面の穴に棲み、6月から9月の月夜に産卵のため海や河口に移動する。道路を横断中に轢死するカニが多いのだろう。ここはまだかなりの高さで海からも遠い。ここから海までカニ歩きでたどりつくのは大変だ。種族維持本能とはいえ恐れ入谷の鬼子母神だ。

歩行者、地元の人ならともかく、運転手がこの標識に気づき、文字看板まで読んで標識の意味を理解してカニが横断するのを守れるだろうか。ましてカニが産卵のために海辺、河口に移動するのは月夜という。真っ暗でないとしても小さなカニを見つけ、それを避けて運転するのは無理というものだ。文字看板には、「カニに注意」他の看板を設置するなどして、自然環境保護に取り組んでいます。」とある。標識は無いよりあった方がましといった程度の物で、横断するカニを守る有効な手段がない(考えつかない)のだろう。自然環境保護に取り組んでいるという姿勢をアピールするための行政のアリバイづくりだ。

Img_2604 「アカテガニ」横断注意

Img_2610 由岐駅の方へ下って行く。

ここでおばさんから手作りの小さな巾着袋と飴の接待を受ける。

Img_2613 田井の浜が見えてきた。

Img_2617 田井の浜

Img_2619 田井の浜海水浴場

まだ海水浴客はいない。

Img_2634 白浜休憩所

一段高くなっていて見晴らしも良く涼しい。しばし休憩。

Img_2637 石灯籠

「准指定」文化財、准なんてけちな、ややこしい指定だ。合併して美波町となってからはどうなったのか。

Img_2636 説明板

Img_2641 山座峠への遍路道

Img_2646 山座峠休憩所

Img_2652 峠から下って

Img_2653 入江に出る

Img_2659 えびす洞へ

Img_2673 恵比寿洞神社へ上る。

Img_2663 恵比寿洞神社

恋愛成就、夫婦和合の神さんだと。

Img_2662 恵比寿神社から日和佐湾

Img_2668 恵比寿洞 

県内一の海蝕洞、今日は波も穏やかで押し寄せる波音は轟音とまでは言えない。

Img_2658 説明板

Img_2675 立島(左上)・国民宿舎うみがめ荘(正面右)・日和佐城(うみがめ荘の右上)・大浜・ホテル白い燈台(手前右)・その向こう側が恋人岬

Img_2680 恋人岬

Img_2686 岬の名前も、しゃれた休憩所もお遍路には似合わないか。ここにいた若い女性も私の姿を見たら早速退散した。

Img_2681 浪切不動明王

Img_2688 国民宿舎うみがめ荘

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