熊野古道(中辺路② 稲葉根王子→滝尻王子)
2012年4月5日
紀伊田辺駅(JR紀勢本線)→稲葉根王子バス停・・・国道311号・・・根皆田橋(根皆田川)・・・新市ノ瀬橋(富田川)・・・清水橋(清水谷川)・・・一ノ瀬王子跡・・・庚申塔道標・・・加茂橋(富田川)・・・国道311号・・旧道・・・花折地蔵・・・国道311号・鮎川王子跡・・・鮎川新橋(富田川)・・・大宮橋(内ノ井川)・・・住吉神社・・・御所平・お薬師さん・・・(のごし橋)・藤原定家歌碑・・・道祖神と庚申塚・・・念仏淵・・・(蕨尾橋)・・・大鰻指定地域境界標・・・日待供養塔・庚申塔・・・北郡橋(富田川)・・・清姫橋(西谷川)・・清姫の墓・清姫堂・・清姫茶屋・・・真砂清姫会館・・・国道311号・・・滝尻橋(富田川)・・滝尻王子・熊野古道館・・滝尻バス停→紀伊田辺駅
【ル-ト地図】
*参考:『和歌山県街道マップ(熊野古道中辺路 15)』
稲葉根王子から富田川を5回渡り返し、熊野の霊域への入口の滝尻王子まで進む。バスで紀伊田辺駅へで引き返し、大辺路を朝来駅まで歩いた。(大辺路は別途記載する)
写真をクリックすると拡大します。
富田川(新市ノ瀬橋から) 《地図》
熊野詣では幾度も川を渡る水垢離の苦労を、清らかな水で心身を清め、現世の罪業を祓う禊ぎとして、熊野本宮を目指したのだ。承元4年(1210)には川が増水し、随行者9名が命を落としたという。熊野詣は苛酷な試練が続く、難行苦行の道中だったのだろう。
春日神社の裏山にあり、室町幕府の奉公衆で、紀南地方の領主・山本氏代々の本城という。二代目の城主の忠継が城郭を修築したとき、城内にあった巨大な老松が龍が寝た姿に似ていたことから、「龍松山城」の名で親しまれるようになったとの伝承がある。山本氏は応永34年(1427)の足利義満の側室の熊野詣で、警護に当たっている。『龍松山城と山本氏 』
清水橋(清水谷川)を渡り、畦道に入る。《地図》
対岸の春日神社に合祀。
富田川沿いを進む。《地図》
道標になっている。「左 くまの道 右・・・道」
加茂橋を渡ってこの坂を上り、大塔地区の高台を行く。《地図》
正面の鮎川新橋へ下って渡ることになる。
昔は耳や目の地蔵として祀られていたものが、地元の人たちが花を手折って供えたことから「花折地蔵」と呼ばれている。左端に道標がある。
鮎川王子跡 《地図》
住吉神社に合祀。「大塔宮剣神社」碑は、大塔宮護良親王の側近、平賀三郎国綱は、宮の死後も再起を期して熊野にとどまり、この地で最期を迎えた。宮から拝領した刀を大塔宮剣神社(住吉神社に合祀)に祀ったという。平賀三郎国綱の墓はこの上にあるようだ。
『民話餅つかぬ里』は、大塔宮と知らずに餅を出さなかったという伝承で、以来この里では正月の餅をつかなくなったという。(昭和10年まで) 実際はすでに村中に北朝方の手が回り、大塔宮であっても餅をあげられなかったのかも。
鮎川新橋を渡り、大宮橋(内ノ井川)を渡って住吉神社へ。
住吉神社 【ル-ト地図】59
右が「剣宮」で、その右は神木の槇と無患樹(ムクロジ)の夫婦樹
かなり傾いている。以前からこうなのか? 根元の石は台風12号で崩れてきたのか?
後白河上皇の最初の熊野詣の頓宮があったという。
耳の病いになると穴の開いた小石を供えてお参りするという。
右に藤原定家の歌碑
後鳥羽上皇の熊野御幸に随行した藤原定家は田辺から滝尻王子までを1日で歩いている。軟弱な公家歌人のイメージが一新し、親しみを感じてきた。
藤原定家は鮎川王子から滝尻王子までの道程を、「景気殊勝なり、崔嵬(さいか)の険阻を昇り」と表している。その険阻な道に入る。
やけに頭の長い青面金剛だ。道祖神は陰陽合体というがよく分からない形だ。
対岸が鮎川温泉
富田川は熱帯性の大鰻の北限の棲息地。
清姫の墓・清姫堂 《地図》
『安珍清姫伝説』
清姫は荘司ケ淵に身を投げ、その怨霊が大蛇となって安珍を追い、道成寺で鐘に隠れる安珍を焼き殺したとある。
「清姫の大蛇となりし所とて ぬたくり歩く 旅のくたびれ」(十返舎一九)
ここ真砂(まなご)が清姫の生誕地という。
安珍が隠れた鐘のイメージか。叩くと”(安)ちん”と音がした。安珍の生誕地という奥州街道の根田宿には、安珍堂と安珍の墓がある。
下の犬小屋でワンワン・きゃんきゃん吠えている。去年の台風12号の時は恐かったろう。
滝尻橋を渡って熊野古道館(正面)、滝尻王子跡へ。
滝尻王子 《地図》
五体王子の一つで、舞いなどの芸能、歌会が奉納された。ここから熊野の神域・霊域に入り、険しい山道の上りとなる。熊野古道館で近露王子までの古道は歩けるかを確認し、バスで紀伊田辺駅に戻った。
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